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W-ZERO3

Text by Masahiro Sano

歴史を作り上げた携帯電話・スマートフォン5選

音声通話からiモード、そしてスマートフォンへと急速な進化を遂げてきた携帯電話。その過程で、さまざまなハードが生み出されてきた。そこで、携帯電話専門ライターである筆者が愛用してきた携帯電話・スマートフォンの中から、時代の先駆けとなり、歴史を作った注目すべき端末をいくつか紹介しよう。

タッチパネルの系譜はここから – DP-212

携帯電話の端末は、約20年のうちに利用の主体が音声通話からデータ通信へと大きく変化し、その役割も大きく変わってきている。そこでここでは、筆者が所有している携帯電話端末の中から、後の世代に大きな影響を与えてきたモデルをいくつか紹介していきたい。

最初に紹介するのは、パイオニアの「DP-212」という端末。今やスマートフォンでは当たり前となった全面タッチパネルだが、日本でその先駆けとなったのは、約20年前の1996年に、パイオニアがデジタルホン(後のJ-Phone、ボーダフォン日本法人を経て、現在はソフトバンク)向けに提供していた「DP-211」である。

そのDP-211を、1997年にスタートしたショートメールサービス「スカイウォーカー」に対応させ、さらに手書きメモやスケジュール管理など、よりスマートフォンに近い機能を備えたのが、このDP-212である。スカイウォーカーはiモードに先駆けて、携帯電話上でのEメール送受信を実現するなど時代を大きく先取りしたサービスだっただけに、大画面でどこでもEメールができるDP-212は、時代を大きく先取りするスタイルを実現していたといえる。

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モノクロながら全面タッチパネルを採用した「DP-212」は、20年近く前に発売されていた

全面タッチパネルの携帯電話は、1999年に開始された「iモード」が高い人気を博し、端末の形状にも影響を与えたことから、2000年を境にその系譜が一度途絶えてしまっている。だが現在のスマートフォンにつながる先駆性は、もっと評価されてもいいだろう。

 

携帯電話の歴史を変えたカメラ – J-SH04

現在、携帯電話になくてはならない機能の1つとして挙げられるものに“カメラ”がある。そのカメラを携帯電話に搭載し、普及へと導いた端末が、2000年に発売されたシャープのJ-Phone向け端末「J-SH04」だ。

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カメラ付き携帯電話の先駆けとなった「J-SH04」

カメラを搭載した携帯電話端末自体は、この機種以前にも存在している。だが、J-SH04はカメラで写真を撮影することに重きを置き、さらにそれをEメールで送って友達と交換し合うなど、現在のスマートフォンに近い利用方法を提案したことから、大ヒットモデルとなったのである。“自撮り”用のミラーが付いていたことも、世界的な“セルフィー”ブームの現在を見ればいかに先駆的であったかが理解できるのではないだろうか。

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背面の11万画素カメラで写真撮影が楽しめた。横に自撮り用のミラーが用意されていたのも、先駆的な試みといえる

J-SH04のヒット以降、カメラ付き携帯電話が次々と登場し、カメラが携帯電話に欠かせない存在となっていった。J-SH04は、携帯電話の歴史を大きく変えた端末の1つと言っても過言ではないのだ。

 

高速通信本格普及の幕開け – N900i

現在でこそ携帯電話のネットワークに高速性が求められているが、昔は必ずしもそうではなかった。特にLTE※1の1つ前の世代である“3G”は、当時まだ音声通話が主流だったこともあってなかなか普及が進まなかったのだ。

※1 Long Term Evolution:第3世代携帯電話 (3G) を進化させ、下り最大100Mbps以上の通信速度を実現する通信規格。

そうした流れを大きく変えたのが、2004年に発売されたNTTドコモのFOMA対応端末「900i」シリーズである。このシリーズがそれまでの3G端末と大きく異なっていたのは、前世代となるmova(2G)の端末に近いコンパクトなデザインとサイズ感を実現したこと、さらには「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」などの(当時としては)大容量のゲームや、画像でメールを飾り立てられる「デコメール」など、3Gの高速性を生かした魅力あるコンテンツが利用できるようになったことだ。

その900iシリーズの中でも、高い人気を博したのがNEC製の折り畳み式携帯電話「N900i」だ。NECは当時“折り畳みのN”として絶大な人気を博していたが、N900iでは開いた時の側面のラインに刀をイメージした「アークライン」を採用。それ以降のNECにおける端末デザインのスタンダードを作り上げたモデルにもなっている。

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コンテンツの充実度を高め大きく進化した、3G携帯電話「900i」シリーズの1つ「N900i」
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本体を開いた時の曲線的なラインが大きな特徴となっていた

 

スマートフォン市場開拓の試行錯誤 – Advanced/W-ZERO3 [es]

国内のスマートフォンの歴史はiPhoneから始まったと思っている人も多いかもしれない。だが、日本のスマートフォン市場を真に切り開いたのは、ウィルコムから発売された、シャープ製のWindows Mobile搭載スマートフォン「W-ZERO3」シリーズである。

このシリーズは、2005年に発売されたスライドキーボード搭載の「W-ZERO3」(WS003SH)に端を発しており、当時は日本でスマートフォンを使いたい人たちが量販店に行列を作るほどの人気ぶりであった。だが最初のW-ZERO3は、当時としては大型でありユーザーを選ぶ傾向が強かったため、より携帯電話に近づける努力が進められていった。

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W-ZERO3シリーズの3代目モデルとなる「Advanced/W-ZERO3 [es]」

そして、W-ZERO3シリーズの3機種目として登場したのが、2007年に発売された「Advanced/W-ZERO3 [es]」(WS011SH)である。この機種は、形状こそやや大きめのストレート型携帯電話といった印象だが、横にしてスライドするとQWERTYキーボードが現れるなど、W-ZERO3の重要な要素がしっかり継承されたことで人気を博した。iPhoneの発売以降人気を失っていったW-ZERO3シリーズだが、国内のスマートフォン市場開拓に大きく貢献した、存在意義の高いモデルだったといえよう。

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やや大きめの携帯電話というサイズ感ながら、スライド式のキーボードを搭載している

 

現在の市場を作り上げた1台 – iPhone 3G

そして、現在のスマートフォン市場を作り上げたのは、言わずもがな全面タッチパネルを採用した、アップルのiPhoneシリーズである。日本に初めて投入されたiPhoneは、iPhoneとしては2代目となる「iPhone 3G」だ。

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日本市場に初めて投入されたiPhone「iPhone 3G」

iPhone 3Gは発売時は大都市の量販店に購入者が大行列を作るなど、大きなフィーバーをもたらした。だが発売当初のiPhone 3Gは、テキストのコピー・ペーストもできなかったし、パソコンに接続しないと利用を開始できないなど、かなり粗削りな内容でもあった。そのため、当初のフィーバー以降は販売がなかなか伸びず、日本ですんなり受け入れられたわけではなかったのだ。

しかし多くの問題がありながらも、iPhoneの持つポテンシャルは高く評価され、停滞しつつあった携帯電話端末市場を大きく変えるきっかけとなったのは確か。時代を大きく変えた端末であることは間違いないだろう。

ここまで触れてきた端末を見ても分かるように、携帯電話は約20年で急速かつ大きく変化してきている。iPhoneの登場からかなりの年数がたち、再び停滞期が訪れつつある携帯電話端末だが、今後もさまざまなメーカーの手によって、ワクワクさせてくれる端末が次々と登場してくることを期待したい。

佐野正弘(さの・まさひろ)

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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