クリスマスの思い出といえば、サンタクロース。
25日の朝、枕元に置かれたプレゼントとかっこいい筆記体で書かれた「Santa」のサインを見た瞬間のトキメキを、私は今も忘れない。
そんなサンタさんが、ここ数年来てくれない。31歳。今でもサンタはいると信じている。
「彼に会いたい…そして一緒にクリスマスを感じたい…!」
いてもたってもいられず、2016年11月20日、わたしはヘルシンキ空港に降り立った。
クリスマスの始まりを宣言する「クリスマス・ストリート・オープニング」なるイベントに、サンタクロース村に住んでいる“ガチ”のサンタさんがやってくるというからだ。サンタさんの一声でヘルシンキの街にイルミが点灯し、光り輝く街の中をサンタさんたちがパレードするという。
待っててサンタさん。いま、会いに行きます。
さすが本物のサンタがいる国。到着した途端、「We Love Christmas」の文字でお出迎え。空港も街もデコレーションでまばゆく光り輝いている。クリスマスへの気合いが違う。た、た、た、高まるるぅぅぅ〜〜〜!
「OFFICIAL AIRLINE OF SANTA CLAUS」と書かれたテイクフリーの荷物タグ
「Kiss here」って書いてあるけど誰もしてなかった
ヘルシンキ中心部にある大きなモール「Kamppi」は建物ごと真っ赤なリボンでラッピング
こっちは「Forum」というモール。吹き抜け部分がギンギラギンのギンに
11月のヘルシンキの気温は0℃前後。加えて日の出が朝9時、日没は午後3時半と夜がめちゃくちゃ長いせいもあるのか、すべての買い物が一度に済ませられる巨大モールが発達している。ちなみにどうでもいいのだけど、フィンランド語で「こんにちは」は「Moi!(モイ)」という。みんなが口々に「モーイ」「モーイ」と言っているのがめちゃカワイくて、自分も言いたいがために無駄に挨拶していた。
ここが「クリスマス・ストリート・オープニング」のセレモニーが行われるヘルシンキ大聖堂の元老院広場。大階段でなにやらリハーサルのようなものが行われているが、あれ? 真ん中にいるのはサン……いや、気のせいだ。再会がこんなアッサリではつまらない。
広場にはチャリティのフードブースや移動図書館などがあり、暖かいグロッギ(ベリージュースにスパイスをきかせたホットドリンク)やマッカラ(ソーセージ)なんかを食べながら楽しむ人々がわらわら。
2ユーロでピパルカック(ジンジャーブレッド)とティーをくれるブース。サンタ帽似合うなぁ
ムーミンデザインの車は移動図書館
そうこうしているうちに、セレモニースタート。気づくと広場にはこんなに山盛りの見物客が。彼らの視線の先にいるのは…
サ…サ…サ…サンタさーーーーーーーーん!!!
遠くてぼやけているけれど、聖歌隊の真ん中にいる赤白のお方は間違いなく、サンタクロースその人だ。サンタさんだぁ……サンタさぁあん(涙)。
クリスマスソングを合唱し、ヘルシンキ市長と共にスピーチ。「素敵なクリスマスを!」(的な感じ)の一言で、街のイルミネーションが一気に点灯し、パレードがスタート。
パレードはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の音楽と共に展開し、鉛の兵隊やねずみたち、妖精さんが沿道の観客に手を振りながら街を巡っていく。さて、サンタさんはどこだろう…と思っていると、きたきたきたきた!!!
サンタさぁぁぁぁあぁぁん!!
なんか照明暗いの気になるけれど、サンタさんが手を振っている! こっち向いてくださいサンタさん!
目線くれずに通り過ぎるサンタさん…せつなすぎる。こうなったら次のポイントに移動。チェイシング・サンタさんすることに。
サンタ追っかけ中に街のイルミも堪能。メインとなるのはマリメッコなどおしゃれショップが軒を連ねる大通り「アレクサンテリンカトゥ(アレクサンダー通り)」。通り名の頭文字“A”を象ったイルミが美しく街を彩る。またヘルシンキで一番大きなデパート「ストックマン」のショーウィンドーのディスプレイも、地元民にとっては恒例のクリスマスのお楽しみらしい。
一気にキラキラの光に包まれるアレクサンテリンカトゥ
しましまキャンディーのワゴン
街のランドマーク的存在であるデパート「STOCKMANN(ストックマン)」
ショーウィンドーは北極テーマ? 子供が夢中で見ていてキュンとする
この交差点でサンタさんを迎え撃つことに。これがラストサンタチャンス。果たして今度はサンタさんに目線をもらうことはできるのだろうか…とその時、サンタさんがカミング!
「サンタさぁぁあぁぁーーーーーん」
「サンタさぁぁあぁぁぁあーーーー……」
……………って、 どんだけこっち向かへんねーーーん。
ということで、至近距離での目線ゲットは果たせず。
でもサンタさんを責めたりはしない。サンタさんがこっちを見てくれなかったのは、この1年のわたしの良い子っぷりが足りなかったせいなのだ。来年はもっと仕事を頑張って、毎日ちゃんと野菜を食べるし、酔っ払って他人のスマホで大量の自撮りをするなんてこともしない。ヘルシンキのひんやりと澄み渡った夜空に、そう誓ったのだった。