2025.3.10

オウンドメディア ソリューション

サステナビリティとは? SDGs・ESG・CSRとの違いやサステナビリティ経営に取り組む意義について解説

近年、環境問題の深刻化や経済格差の拡大などから、「サステナビリティ」が重要なキーワードとして注目されています。

今回は、サステナビリティの基本的な意味や取り組む意義、混同されやすいSDGs・ESG・CSRとの違いなどについて解説します。

サステナビリティとは?

サステナビリティ(sustainability)とは、英語の「sustain(持続させる、維持する)」と「-ability(〜できること)」を組み合わせた言葉で、日本語では一般的に「持続可能性」と訳されます。

サステナビリティが広く認知された背景には、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」が発表した報告書『我ら共有の未来(Our Common Future)』があります。この報告書では、環境保全と経済発展を共存させることの重要性が強調され、その方法として「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が提唱されました。

その後、サステナビリティの考え方は徐々に広まり、現代の環境問題や持続可能性に関する議論の基礎を築きました。

サステナビリティの3つの柱「環境」「社会」「経済」

サステナビリティは「環境」「社会」「経済」という3つの柱で成り立っており、これらの観点から、持続可能な発展を目指す取り組みが求められています。

表組み
取り組みの目的 取り組みの具体例
環境 環境を保護するための取り組み ・地球温暖化を防ぐための温室効果ガス対策
・天然資源消費量の削減
・電力消費量の削減
・森林保護
・海洋生態系の保全
・生物多様性の保全 など
社会 誰もが平等に生きられる社会をつくるための取り組み ・人権問題改善/教育/訓練などの問題を解決するための法整備や支援
経済 持続可能な経済活動を維持するための取り組み ・労働環境の改善
・社会保障の充実
・環境や社会に配慮した生産活動 など

サステナビリティとSDGs・ESG・CSRの違い

サステナビリティと関わりが深く、一緒に用いられることが多い言葉として、「SDGs」「ESG」「CSR」があります。それぞれの意味とサステナビリティとの違いについて解説します。

サステナビリティと「SDGs」の違い

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年に国連で採択され、2030年までの達成を目指す17の目標と169のターゲットから成り立っています。

サステナビリティとSDGsは関連していますが、サステナビリティが「持続可能な社会の実現を目指す概念や考え方」であるのに対し、SDGsはその実現に向けた「具体的な目標」といえるでしょう。例えば、「貧困をなくそう」「住み続けられるまちづくりを」など、SDGsは具体的な達成目標として定められています。

サステナビリティと「ESG」の違い

ESGとは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3つの英単語の頭文字をとった言葉で、「企業が環境や社会に配慮した企業統治を行うこと」を意味します。近年、ESGの観点から企業を分析して投資する「ESG投資」の動きも強まっており、ESGに優れた企業は投資家から高く評価され、資金調達の面でも有利に立てる傾向が見られます。

サステナビリティとの違いとしては、「ガバナンス」に、役員構成・役員報酬・汚職・贈収賄・ロビー活動・政治献金・多様性といった項目が含まれている点が挙げられます。つまり、ESGはサステナビリティよりも企業価値や経営面に特化している考え方であり、サステナビリティを実践するための経営指針ともいえるでしょう。

サステナビリティと「CSR」の違い

CSRは「Corporate Social Responsibility」の略称で、「企業の社会的責任」を意味します。CSRは企業活動における経営上の概念であり、企業が経済や社会、環境に与える影響を考慮して、どのように貢献できるかを重視しています。

一方、サステナビリティは国や個人までもを対象とした広範囲な概念で、より長期的な視点で持続可能な社会の実現を目指すものです。したがって、CSRはサステナビリティに貢献する活動の一環という位置付けになります。

サステナビリティ経営とは?

上記のような社会的背景から近年、企業には「企業の社会的責任」と「ビジネスの持続可能性」の両立が求められています。こうした考えに基づく戦略的な経営手法が「サステナビリティ経営」と呼ばれるものです。

具体的には、環境負荷を軽減するための廃棄物の削減や持続可能な資源の利用、公正な労働条件の整備、地域社会への貢献、労働環境の向上などが挙げられます。

企業がサステナビリティ経営に取り組む5つの意義

サステナビリティ経営は、利益を追求するためだけでなく、企業としての存在意義を深め、社会に対する責任を果たすことにもつながります。ここでは、企業がサステナビリティ経営に取り組むうえで押さえておきたい5つの意義を説明します。

企業価値の向上につながる

近年、企業のサステナビリティ活動は世界的に注目を集めており、そうした取り組みは企業のブランドイメージや価値の向上に大きな影響を与えています。環境問題や社会課題に積極的に取り組む姿勢は消費者の選択基準にもなっており、持続可能性を重視した商品やサービスを選ぶ傾向も強まっているでしょう。

こうした理由から、サステナビリティ経営をすることは、社会的信頼はもちろん、長い目で見た利益向上のためにも意義があるといえます。

従業員のエンゲージメント向上につながる

サステナビリティの3つの柱のうち、「社会」「経済」には労働環境や人権問題なども含まれます。企業がサステナビリティ経営を進めることで、従業員にとって働きやすい環境が整い、企業に対する愛着や帰属意識の高まりといったエンゲージメントの向上が期待できます。

また、企業のサステナビリティ活動は地域社会の課題解決に寄与するケースが多いため、従業員は「自分の仕事が社会貢献につながっている」と実感しやすくなるでしょう。こうして、企業の社会的評価が高まるとともに、従業員も安心感や信頼を持って働けるようになります。

優秀な人材の確保につながる

民間企業が実施した調査では、2024年春に就職予定である就活生のうち、就職先を選ぶうえで企業のSDGsに関する取り組みを意識する人は約5人に1人であることがわかりました。

特にミレニアル世代やZ世代はインターネットを使用した情報収集に長けており、環境問題や社会課題への関心も高いといわれています。サステナビリティを重視する優秀な人材を確保できることも、サステナビリティ経営を行う意義の一つといえます。

ステークホルダーとの信頼構築につながる

サステナビリティへの取り組みを社外に周知すれば、ステークホルダーからの信頼度アップにつながるでしょう。

「温室効果ガスの削減」「フードロスの削減」「長時間労働の是正」といった具体的な取り組みを公表し、株主総会やセミナーなどを通じて継続的に情報を発信すれば、ステークホルダーとの信頼関係をより強固なものにできるはずです。

事業の拡大につながる

既存のビジネスモデルをサステナブルな形でアップデートできれば、新規事業の創出や技術革新といった事業の成長につながります。社内ルールを刷新したり、メーカーであれば原材料を見直したり、サステナビリティを意識した取り組みは新たな気づきやアイデアを生み出す契機にもなるはずです。

さらに、ステークホルダーからの信頼が高まり、投資や資金調達の機会に恵まれれば、これまで関わりのなかった新たな取引先にも巡り合えるかもしれません。さらなるビジネスチャンスの拡大に期待できるでしょう。

広報・コミュニケーション戦略としてのサステナビリティ

近年、企業にはサステナビリティに関する情報開示が求められており、上場企業を中心にサステナビリティレポートの発行や自社メディアでの発信が一般的化しています。こうした取り組みは、投資家や消費者に対しての透明性を高めるだけでなく、企業のブランド価値向上にも寄与するでしょう。

オウンドメディアを運営する企業であれば、サステナビリティの取り組みや事例を積極的に発信することで、企業のブランディングを強化できます。例えば、環境負荷を抑えた商品の開発ストーリーや、社内でのサステナビリティ推進の裏側を紹介すれば、企業の姿勢をより深く伝えられるでしょう。また、定期的な情報発信を通じて、ステークホルダーとの継続的なコミュニケーションの場を築くことも可能です。

短期的な発信が得意なSNSに対し、オウンドメディアは企業の価値観やビジョンを体系的に伝えられるため、サステナビリティの情報発信においても重要な役割を果たします。

サステナビリティのガイドライン・指標

サステナビリティには国際的な基準や指標が存在し、企業は自社の活動をこれらを結びつけて発信することで、より信頼性をアピールできます。ここでは、サステナビリティの代表的な2つのガイドライン・指標を紹介します。

GRIスタンダード

GRIスタンダードは、オランダのアムステルダムに本部を置くGRI (Global Reporting Initiative)が策定した、ESG情報開示のための国際的な基準です。企業は、自社が経済・環境・社会に与える影響をこの基準に基づいて報告することで、透明性のある情報開示が可能になります。

日本でも多くの企業がGRIスタンダードに沿った報告書を作成しており、コーポレートサイトなどで「GRIスタンダード対照表」としてサステナビリティの取り組みや実績を公開するケースが増えています。

DJSI

DJSI (Dow Jones Sustainability Indices※)は、アメリカのS&P Dow Jones Indices社が運営するESG投資指標です。環境・社会・経済の3つの観点から、世界の上場企業の持続可能性を評価し、総合的に優れた企業を毎年選定しています。

DJSIに選ばれることは企業のサステナビリティへの取り組みが国際的に評価された証であり、投資家にとっても企業の持続可能性を判断する重要な指標となっています。そのため、多くの企業がDJSIの評価基準を参考に自社のサステナビリティ戦略を強化しています。

※ 2025年2月以降、「Dow Jones Best-in-Class Indices」へ名称変更予定

まとめ

企業がサステナビリティに取り組むことは、社内外からの信頼や評価を高めるだけでなく、地域社会や世界的な課題の解決にも貢献します。環境・社会・経済の3つの観点から、自社にできることを整理し、具体的なアクションへつなげることが重要。企業活動は多岐に渡るため、事業の目的や社内環境に応じたベストな方法を模索することがポイントになるでしょう。

文:エクスライト編集部

オウンドメディアに関すること
お気軽にご相談ください