2025.10.15

ソリューション

従業員エンゲージメントとは? 重要性やメリット、高める方法を解説

近年、「従業員エンゲージメント」という言葉をよく耳にするようになりましたが、「具体的にどんな意味があるの?」「施策の進め方が分からない」という課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

今回は、従業員エンゲージメントの重要性やメリット、高めるための具体的な方法について分かりやすく解説します。

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業のビジョンに共感し、主体的に業務へ取り組む貢献意欲のことです。従業員と企業とのつながりの強さや、従業員が企業に対してどれくらい愛着や信頼を寄せているかを測る指標として、重視されるようになってきています。

エンゲージメント(engagement)には、「約束」「契約」といった意味がありますが、ビジネスシーンにおいては「仕事に対する熱意や誠意」について指すことが多く、従業員が業務に関して高いパフォーマンスを発揮する状態のことを「従業員エンゲージメント」と呼ぶことが多いです。

従業員満足度との違い

従業員エンゲージメントと似たような言葉に、「従業員満足度」がありますが、従業員満足度はあくまでも従業員が企業に対して抱く満足感や居心地の良さを指す言葉で、仕事に対するモチベーションや貢献意欲は含まれません。

従業員満足度は企業の労働条件や福利厚生、働きやすさなどに左右されるため、受動的な意味合いが強いです。一方、従業員エンゲージメントは従業員が自ら企業に対して貢献しようとする姿勢や心理状態を指す、能動的な概念になります。

なぜ従業員エンゲージメントが重要なのか

従業員エンゲージメントが重視される背景としては、働き方の多様化や人材不足の深刻化などが挙げられます。コロナ禍でリモートワークやテレワークが普及し、時間や場所にとらわれない働き方が浸透してからは、転職すること自体が珍しいことではなくなりました。

従業員エンゲージメントが低い状態では優秀な人材を自社につなぎとめておくことが難しくなり、離職率の上昇や生産性の低下につながります。そんな中、自発的に企業に貢献したいという従業員エンゲージメントが重視されるようになり、従業員エンゲージメントを高めるための施策を企業が実施するようになりました。

従業員エンゲージメントが高くなると、生産性の向上につながるため、結果として企業利益やブランド価値の向上にも貢献できます。企業の持続的な成長には、優秀な人材を確保することはもちろん、従業員の自発的な貢献が必要不可欠といえるでしょう。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主なものを紹介します。

会社の雰囲気が良くなり、生産性の向上につながる

従業員エンゲージメントが高いと、従業員は毎日の仕事に対して前向きな気持ちで取り組むようになります。「仕事が楽しい」「仕事にやりがいを感じる」など、ポジティブな気持ちで仕事に取り組む社員が多いと、職場の雰囲気も良くなり、従業員同士が協力しながらスムーズに仕事を進めることができます。結果として、会社全体の生産性が向上し、業績アップなどの良い成果が出やすくなるでしょう。

顧客満足度が向上する

貢献意欲の高い従業員が増えればチームワークも良くなり、生産性が上がります。従業員の姿勢によってサービスの質も上がるため、結果としてお客さんやクライアントの満足度向上にもつながります。従業員エンゲージメントが高いと、第三者からの印象も良くなり、「この商品を使ってみたい」「このサービスを利用したい」など、顧客からの評価も自然と高くなるでしょう。

離職率が低下し、会社の安定につながる

転職理由は人によってさまざまですが、従業員エンゲージメントが高いと、会社への愛着心や帰属意識も高い状態であるため、離職率が低下し、会社の安定につながります。退職理由で多いのが「人間関係のストレス」ですが、従業員エンゲージメントが高い会社は職場の雰囲気が良く、従業員同士のコミュニケーションが良好であるケースが多いため、結果として離職率が減る効果が期待できます。

従業員エンゲージメントを高める方法

多くの企業が従業員エンゲージメントを意識した施策を行っていますが、具体的にどのような方法があるのでしょうか。ここでは、従業員エンゲージメントを高める方法を4つ紹介します。

ビジョンを明確にする

従業員エンゲージメントを高めるためには、まずは経営陣や管理職がビジョンを明確にしなくてはいけません。経営理念や企業のビジョンについて社内報やセミナー等で従業員に共有し、全従業員が企業のビジョンを理解している環境を整えていきましょう。

そもそも、従業員エンゲージメントは従業員が企業のビジョンについて共感しているからこそ成り立つものです。ビジョンが明確であれば自発的に仕事に取り込みやすくなり、会社への愛着心も高まります。

風通しの良い組織づくり

上司と部下が定期的に1on1で話し合う場をつくれば、従業員は会社から自分たちが大切にされていると実感することができます。それ以外でも、社内イベントを開催してコミュニケーションを活発にするなど、風通しの良い組織体制にすることで従業員エンゲージメントを高めることができるでしょう。仕事に関する悩みや不安、目標等を相談できる環境が整っていれば、今後のモチベーションにもつながります。

評価制度を整える

従業員に対して公正な評価を行うことは、従業員エンゲージメントを高めるうえで重要なポイントです。適切にフィードバックを行い、努力が報われる仕組みを整えることで、意欲の低下を防ぐことができるでしょう。従業員が納得できるような評価基準を設定し、貢献度に応じて報酬面での待遇を提示することも大切です。

働きやすい環境を提供する

近年は就職先を選ぶときに企業の福利厚生が重視される傾向があります。ワークライフバランスの考え方が浸透したことで、柔軟な働き方や福利厚生の充実度で就職先を選ぶ人が多くなりました。そのため、従業員エンゲージメントを高めるためには、「この会社で働いて良かった」と思えるような福利厚生や会社独自の制度などを導入し、従業員にとって働きやすい環境づくりを意識することが大切です。

従業員エンゲージメントの測定方法

従業員エンゲージメントを高めるためには、まずは現状を把握し、定期的に効果を測定することが重要です。

測定方法としては、主に次の2つの方法があります。

  • 従業員に定期的なアンケートを実施する
  • 離職率や生産性などの指標を設定し、継続的にデータを分析する

アンケート調査は、多くの企業が取り入れている方法です。企業に対して感じていることや意見について尋ね、従業員のリアルな声を収集します。アンケートで聞いておくべき質問は、「今の会社で働いていることに喜びを感じていますか?」「会社の人事評価に満足していますか?」「会社について不満に感じていることや改善してほしいことはありますか?」などが挙げられます。

アンケート結果をふまえて改善策を実施し、期間ごとの業績の変化などを数値化したものや離職率などを分析してみましょう。従業員エンゲージメントを定期的に測定すると、社内環境の改善に役立てることができます。

従業員エンゲージメントを高めて、安定した職場環境を整える

人材不足が深刻化する中、人材確保のために従業員エンゲージメントの向上に取り組む企業も少なくありません。従業員エンゲージメントが高まると、生産性の向上や離職率の低下といったメリットが期待できます。社内環境や社内体制について定期的に見直しをしながら、従業員が自発的に働きたいと感じるような環境を目指しましょう。

文:エクスライト編集部

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