
2025.6.20
グローバル広報とは? 国内広報との違いや、重要性と注意点について詳しく解説
海外事業を展開する企業は、国内ではなく海外に向けた広報活動を戦略的に行っています。国内の広報と海外に向けたグローバル広報とでは、アプローチの方法が異なり、単なるPR活動だけでは効果が得られない可能性があるのです。
今回は、近年取り組む企業が多いグローバル広報の特徴やその重要性、広報活動における注意点について解説します。
目次
- グローバル広報とは
- グローバル広報と国内広報との違いは?
- グローバル広報の重要性
- グローバル市場において企業ブランド価値が向上する
- グローバル市場の把握に役立つ
- グローバル展開の機会が獲得できる
- 海外ステークホルダーが拡大する
- グローバル広報を行う際の具体的な施策
- グローバルWebサイトを構築し情報発信
- 駐日海外メディア特派員や国内英字メディアに情報発信
- 日本メディアの英語媒体に情報発信
- 海外の現地メディアに情報発信
- グローバル広報を行う際の注意点
- グループ全体で統一したメッセージを発信する
- 国や地域の国情を理解しアプローチをする
- 本社広報と現地広報の連携
- 進出先の文化や特徴をよく理解して、戦略的なグローバル広報を目指そう
グローバル広報とは
グローバル広報とは、海外進出した企業が進出先の国や地域に向けて行う広報活動のことです。現地でのスムーズな市場参入やPR活動が主な目的で、日本企業の海外進出に伴い、グローバル広報を行う企業が増えてきました。世界には競合他社がたくさん存在するため、進出先の国の事情やメディアの特徴を踏まえた広報活動が求められます。
グローバル広報と国内広報との違いは?
グローバル広報と国内広報とでは戦略が異なります。企業として伝えたい内容は国内・海外問わず変わりませんが、それを「どのように伝えるか」という点に違いがあるのです。
グローバル広報では、進出先の国や地域における競合企業の特徴や商品・サービスの認知度などについて情報収集を行い、独自の戦略を立てることが大切です。言語の理解はもちろんですが、営業資料の作成においては、その国や地域の文化に合った表現や事例を取り上げるなど、異文化理解が重要です。習慣や法律にも違いがあるため、日本では通用していたことが海外では通用しないというケースに備え、柔軟な対応力が求められます。
グローバル広報の重要性
近年、ビジネスにおいてグローバル広報がなぜ重要視されているのでしょうか。グローバル広報が重要だと言われている理由を4つ紹介します。
グローバル市場において企業ブランド価値が向上する
海外での広報活動が成功すれば、企業の認知度が広まり、世界規模でのブランディング効果が期待できます。グローバル市場でのビジネスの成功と企業の継続的な発展・成長のためには、グローバルな視点で企業ブランドの価値を高める必要があるでしょう。
また、日本以外の国で企業価値が認められれば、逆に日本国内でも注目が集まり、より高い価値が認められる可能性があります。
グローバル市場の把握に役立つ
日本市場と海外市場では、規模や特徴が異なります。海外市場といっても国や地域によって異なるため、グローバル広報を行う際はその国や地域の市場についてリサーチすることが重要です。その結果、現地のメディアを通して各国・各地域の現状把握が可能になり、将来の事業計画にも役立てられます。
現地メディアの報道内容は市場に大きな影響を与えるため、報道状況を把握することはグローバル広報においても重要な意味を持ちます。
グローバル展開の機会が獲得できる
海外での広報活動が成功すれば、現地メディアで紹介され、企業ブランドの認知向上につながるでしょう。企業の認知度が上がれば、海外でのビジネスチャンスが広がり、海外事業の発展に貢献できます。
また、現地のメディア関係者と接点が増えれば、商品やサービスの売り込みもしやすくなり、広報活動がよりスムーズに行えるようになります。
海外ステークホルダーが拡大する
ステークホルダーとは、企業の利害関係者のことで、消費者・顧客・取引先・報道機関・株主・投資家・従業員・行政機関・金融機関・地域住民などが該当します。グローバル広報を行うことで、海外のステークホルダーとの関係を構築することができ、ブランディングや売り上げなどにも良い影響を与えるでしょう。
海外ステークホルダーの中で特に重要なのが、報道機関(メディア)です。現地メディアから好意的に受け取られれば、企業の海外事業も成功しやすくなるでしょう。
グローバル広報を行う際の具体的な施策
グローバル広報は進出先の国・地域に合わせて戦略を練る必要がありますが、具体的にどのような方法があるのでしょうか。ここでは、主な施策を4つ紹介します。
グローバルWebサイトを構築し情報発信
グローバルWebサイトとは、海外に向けて情報発信するサイトのことです。国内での制作が可能ですが、日本語版サイトで紹介している国内の情報を翻訳するだけではなく、各国・各地域の文化・社会情勢・商習慣などを考慮した上でのローカリゼーション(ローカライズ)が必要になります。
言語切替機能を設けているWebサイトは多く見られますが、国や地域などのエリアごとに掲載内容を変更するなど、地域ごとに紹介する内容を変えるなどの工夫をすることで、効果的に広報活動ができます。
駐日海外メディア特派員や国内英字メディアに情報発信
国内には、外国メディアの特派員として取材や報道活動を行っている駐日特派員がいます。基本的には自国に影響のあるニュースを中心に情報発信を行っていますが、取材をサポートする機会を積極的に作ることで、信頼関係を築くことが可能です。普段からコミュニケーションを取り、駐日特派員を通して情報発信を行うのも1つの方法です。
ただし、外国メディアと日本の企業が直接やりとりする機会はあまり多くないため、外国メディア向けのイベントを開催するなどの対策が必要になるでしょう。
日本メディアの英語媒体に情報発信
日本のメディアが発行する英字新聞や、通信社が提供する英文サービスを通じて、海外に情報発信するという方法があります。「ジャパンタイムズ」や「ジャパン・ニューズ」などが有名ですが、日本を訪れる政府関係者やビジネスリーダー、駐日特派員などに広く読まれています。影響力が大きい媒体と言えるため、情報発信の効果が期待できるでしょう。
海外の現地メディアに情報発信
駐日外国メディアではなく、海外の現地メディアに情報発信することで、ダイレクトに企業のメッセージを伝えることができます。しかし、現地メディアでの情報発信には、それぞれの国や地域に最適な方法でアプローチすることが重要です。
前述した通り、現地で関心が高いトピックスは報道される傾向がありますが、市場に合わせて伝え方を工夫する必要があるでしょう。現地のメディア慣習や常識の違いなどに注意し、各メディアの担当者と密にコミュニケーションを取りながら情報発信することが大切です。
グローバル広報を行う際の注意点
海外に向けた広報活動は、文化やメディアの特性の違いなどにより、日本の常識とは異なるケースが多いです。グローバル広報を行う際に注意したいポイントを3つ紹介します。
グループ全体で統一したメッセージを発信する
グローバル広報で重要なのが、メッセージの一貫性です。国や地域ごとに表現方法を検討することはあっても、企業として伝えたいメッセージの方向性は統一することが大切です。国や地域によって伝える内容が変わると、「この企業はいったい何をしたいの?」といった疑念が生まれる可能性があります。海外の複数国に拠点を持つ場合などは、すべての国において共通のメッセージを発信し、企業としてのブレない姿勢や立場を示すことが重要です。
国や地域の国情を理解しアプローチをする
国や地域によっては規制されている言語表現や製品などがあるため、各国・各地域のメディア情報についてはしっかりとリサーチすることが重要です。例えば、国によっては一定の表現を使用するとペナルティの対象となる可能性もあるため、社会情勢や経済状況なども踏まえた上で情報発信するようにしましょう。情報発信後の効果を検証しながら、最適なアプローチをしていくことが重要です。
本社広報と現地広報の連携
グローバル広報において、本社の広報担当が広報活動のすべてを主導して行うことは、統一したメッセージをブレずに伝えられるというメリットがありますが、対象となる国・地域の実態をすべて把握するのは困難なため、各国・各地域に応じたきめ細やかな対応は難しくなるでしょう。
そのため、対象となる国・地域が多い場合にグローバル広報活動を行う際は、本社広報と現地広報が連携することもおすすめです。本社の広報担当がメッセージや広報方針などをグループ全体で統一してグローバルに共有し、各国・各地域の社会情勢や文化、慣習など実態を把握している現地の広報担当が主導権を持って広報活動を実行することにより、ローカライズされた最適な情報発信が期待できるでしょう。
進出先の文化や特徴をよく理解して、戦略的なグローバル広報を目指そう
ここまでグローバル広報について詳しく解説してきました。グローバル広報では、海外進出先の現地の文化や社会の在り方を深く理解した上で、進出先の国の事情やメディアの特徴を把握し、その地に適した方法で情報発信することが大切です。その際、進出先の国や地域における競合企業の特徴や商品・サービスの認知度、競合などについて情報収集を行い、独自の戦略を立てることが重要ですが、自社が伝えたいメッセージはグローバルで統一し、企業としてブレない姿勢を示すことも不可欠でしょう。
文:エクスライト編集部